モンテ・クリスト伯〈1〉 (文庫)
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今も昔も復讐鬼の物語が人々の心を惹きつけてやまないのは、それが幸福と安寧に背を向けた人間の究極の姿だからであろう。世界の文学史上最も有名な復讐鬼、モンテ・クリスト伯。19世紀フランスの文豪、デュマが創造したこの人物もまた、目的を果たすごとに、底なしの泥沼へと一歩足を踏み入れていく。
本名、エドモン・ダンテス。マルセイユの前途有望な船乗りだった彼は、知人たちの陰謀から無実の罪で捕えられ、14年間の牢獄生活を送る。脱獄を果たし、莫大な財宝を手に入れたダンテスは、モンテ・クリスト伯と名乗ってパリの社交界に登場し、壮大な復讐劇を開始する…。
文庫本で7冊の大著である。物語に多少「できすぎ」の感もあるが、そんな懸念をすぐに吹き飛ばしてくれるほど波状に富んだ展開で、息をつく暇もなく読み通してしまう。フランス文学の大著といっても、机に向かって姿勢を正して読む、というよりは寝そべりながら読むうちについ夜更かししてしまう、というタイプの作品である。
何と言ってもこの小説の白眉は、伯爵の用意周到かつ執拗な復讐の過程である。着々と目的を遂行していく姿が、心理描写をいっさい排した文体で描かれ、後年のハードボイルド文学をも連想させる。
復讐の物語にハッピーエンドはあり得ない。もしあるとすれば、主人公がどこかで「妥協」を見出す必要があろう。モンテ・クリスト伯が最後にどんな選択をするのかも、読みどころのひとつである。(三木秀則)
出版社/著者からの内容紹介
ぬれぎぬを着せられ、無実の罪で逮捕されたダンテス。流刑島の地下牢に14年間入れられた彼は、脱走後、うらぎり者たちへの復讐を誓う。
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単行本
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牝猫 (文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
人間どうしさながらに意志をかよわせ睦みあう青年アランと愛猫サア。アランの愛のみを待ちうける新妻カミーユの不満は、やがて「第三者」サアに対するいらだちと嫉妬の心にかわってゆく…。20世紀フランス文壇の女王コレット(1873‐1954)が、一匹の牝猫をはさんだ若い新婚男女の微妙な心理を繊細な感覚でとらえた円熟期の代表作。
八十日間世界一周 (文庫)
出版社/著者からの内容紹介
1872年10月2日午後8時45分,ロンドンの謹厳な資産家にして知識人フィリアス・フォッグ氏は,多くの新聞が一斉にとりあげ狂気の沙汰と評した,80日間世界一周の旅に出た.彼はトランプ仲間と,1秒でも遅れると全財産を失うことになる賭をしたのだ.彼と忠実な従者パスパルトゥーを待ちうける波瀾万丈….
内容(「BOOK」データベースより)
一八七二年一〇月二日午後八時四五分、ロンドンの謹厳な資産家にして知識人フィリアス・フォッグ氏は、多くの新聞が一斉にとりあげ狂気の沙汰と評した、八〇日間世界一周の旅に出た。彼はトランプ仲間と、一秒でも遅れると全財産を失うことになる賭をしたのだ。
目には目を (文庫)
出版社/著者からの内容紹介
破産寸前の夫、その若く美しい妻、彼女に恋する中年の資産家とオールドミスの姉、この四人の男女の頭の中には、それぞれ思惑がひそみ、それが運命の糸のようにからみあって、破局へと突き進んで行く……。目には目を、歯には歯を、復讐を許すタリオンの掟が……。名作『わらの女』で一躍脚光を浴びた女流作家の長編第三作!
嘔吐 (単行本)
内容(「MARC」データベースより)
サルトルの精神形成を知るうえで欠かすことのできない「実存主義の聖書」であり、また実存主義思潮の熱い季節が去った後も、人生とは何かを真正面から純粋に追求した類稀な小説。実存と不条理を描く現代文学の古典。*
女帝 わが名は則天武后 (単行本)
出版社/著者からの内容紹介
七世紀、唐の時代。太宗の後宮に一人の少女が入った。
平民生まれで何の後ろ盾もない少女には、皇帝の寵を争うつもりもなかった。だがもって生まれた才気と天運によって、彼女は皇后に、そしてついには玉座へ上る──。 中国四千年の歴史上、皇帝の座に就いた唯一の女性、則天武后。冷酷な悪女として知られるが、それは後世の歴史家によって捏造されたものだという。真実の彼女は、妻として皇帝を支え、利権にしがみつく官僚と闘い、数々の改革を成し遂げた名君だった。 その武后のモノローグで物語は語られる。
人でありながら神になるとは、いかなることなのか?
絶対的な権力を手にした者に、愛は可能なのか?
「天よ、なぜこの私だったのか──」 広大な帝国の未来を委ねられた彼女は、幾度となく天に問いかける。天命に翻弄され、孤高の玉座についた一人の女性の痛切なる叫びが切ない。武后の語りを読み進めるうち、女帝であることの圧倒的な孤独と、自らの運命を生きることの哀しさと、限りある人生にとって歴史とは何なのかという問いかけが、胸にせまるだろう。 世界的ベストセラーとなった『碁を打つ女』(早川書房)の著者による最新作。詩情あふれる簡潔な文体は、壮大な歴史を語るにふさわしい。そして奇跡のように美しく切ない。
内容(「BOOK」データベースより)
時は七世紀、唐の時代。一人の少女が後宮に入った。そこは一万人の女たちが皇帝の寵を争い、陰謀と嫉妬が渦巻く世界。だが天運は彼女とともにあった。何の後盾もない平民生まれの少女は、死の淵から救い出され、権力の中枢へと導かれた。皇后に、そしてついに玉座へ上る。天は、彼女に広大な帝国の未来を委ねたのだ。絶対的な権力を持つことの、圧倒的な孤独。そのとき、彼女は何を思うのか―中国四千年の歴史上、唯一の女帝、則天武后。後代の歴史家によって冷酷無比な悪女と貶められ、皇帝であったことすら否定されてきた。その偽りの正史に挑み、転落と再生をくり返した武后の波乱の生涯を、詩情あふれる簡潔な文体で描き上げる。フランスでベストセラー、世界20カ国で翻訳された気鋭の中国人作家の最新小説。
ロベルトは今夜 (文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
自宅を訪問する男を相手かまわず妻ロベルトに近づかせ、不倫の関係を結ばせて客人のもてなしに供する“歓待の掟”に魅せられた夫オクターヴ。原罪と自己超越を追求する行為の果てには何が待っているのか。一九五四年に発表され、今なおその衝撃的な内容に論議が尽きない哲学小説、待望の文庫化。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
クロソウスキー,ピエール
1905‐2001年。フランスの作家、思想家、画家
若林 真
1929‐2000年。新潟県生まれ。慶應義塾大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈1〉 (文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
フランス・ルネサンス文学を代表する作家フランソワ・ラブレーの傑作大長編、待望の新訳版。この巻では、巨人王ガルガンチュアの誕生・成長と冒険の数々、さらに戦争とその顛末が、笑いと風刺を織り込んだ密度の高い文体によって描き出されてゆく。現代的センスあふれる清新な訳文から、不朽の物語の爆発的な面白さと輝かしい感動が楽しく伝わってくる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ラブレー,フランソワ
1483?‐1553。フランスの作家・医師。モンテーニュとともに16世紀フランスを代表する文学者。トゥーレーヌ地方シノンに、弁護士の末子として生まれる。フランチェスコ会修道院に修道士として起居し、哲学・神学を学ぶかたわらギリシャ語を独習。1528年ごろパリに上る。30年秋、モンプリエ大学医学部に登録。32年にリヨン市立病院に勤務、医師・古典学者として第一歩を踏み出す
宮下 志朗
1947年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授(言語情報科学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
エマニエル夫人 (文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
パリから夫の待つバンコックへの機内での2人の男との異常なセックス。また、バンコックでの女同士の愛やイタリア人侯爵との性問答で、エマニエルの官能は花開き、昇華していく。発表当時、その強烈な描写と衝撃的な性哲学が世界じゅうの話題をさらった傑作。
子どもを食べる大きな木の話―ショヴォー氏とルノー君のお話集〈2〉 (単行本)
内容(「BOOK」データベースより)
子どもを食べて肥え太ったブナの大木と木こりが死闘を演じる表題作、誇り高いカタツムリの波乱にみちた生活を描く「大きなカタツムリの話」、ヘビが手足をなくしたてんまつをつぶさに語る「ヘビの子の話」などなど、たぐいまれなお話集の第二巻には、とことん自在に物語の世界を広げる傑作五篇が大集合。小学校中級以上。
内容(「MARC」データベースより)
子どもを食べて肥え太ったブナの大木と木こりが死闘を演じる表題作ほか、「大きなカタツムリの話」「ヘビの子の話」など、全5篇を収録。たぐいまれなお話集第2弾。再刊。